意味からの解放宣言
イラストレーションとタイポグラフィにまつわる快楽は、ひと目見た直後、文字の意味を読み取れないうちの一瞬にこそ本質があるのではないか? という個人的な興味から作った〈イラストと無意味なタイポグラフィ〉の本です。
可愛らしいイラストが配された書籍や漫画の装丁を見るたびに、キャラクターと文字はどうしてこんなに相性がよいのかと不思議に思います。ところが、ためしに自分の描いた絵の上に適当な文字をレイアウトして遊んでみたら、どうにも落ち着かない雰囲気を発散しはじめてしまいます。どうやら、適当に選ばれただけで機能しない言葉は、見る人に奇妙な不安感を与えてしまうようです。
「そうか、ぼくは女の子の上に文字がレイアウトされている風景が見たいだけで、言葉を読みたかったわけではないのだ。意味を求めていたわけではない。
――意味から解放されたい」
そこで、文字のエレメントを分解し、意味をなさない“文字らしきもの”を作りました。ぱっと見たときに文字っぽく見えるが読めない。意識が意味に刈り取られないまま、文字の文字らしさだけがいつまでも漂っている。なんと贅沢な時間でしょう!
読めそうで読めない文字を見つめながらぼんやりとたゆたうこの心地よさは、寝入りばなのフワフワした気持ちにも近いものがあります。
今回作った本は、表紙にさえ「読めない」文字しかありません。意味から解放されたこの曖昧な世界を、一緒に楽しんでくれると嬉しいです。
タイトル | 意味からの解放宣言 |
仕様 | B5 / 20p (フルカラー) |
頒価 | ¥600(予定) |
著者 | robamoto( twitter ) |
発行日 | 2018年8月12日 |
入手方法 |
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